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12/3 暁!!三國学園 オルタナティブ

 

「人が一人で出来ることなんて限られている、大きな力の前では個人の力なんて本当にちっぽけなものよ。でも、だからこそ人は助け合う。励まし合って支え合って、一人では乗り越えられない大きな壁に立ち向かっていく」

 

舞台『魁!!三國学園 オルタナティブ』の主題は、これに収斂されている。絶対的権力を振りかざし学園を意のままにせんとする理事長の娘、司馬イザベラに立ち向かう、主人公諸葛亮子の印象的な台詞である。

演じる宮脇愛は、終演後の挨拶で知ったのだが、今回が舞台初挑戦だという。いきなりの主演、その緊張や不安、更には喉の不調も重なって、計り知れぬほどの大きな壁が立ちはだかったことだろう。それこそ、一人では乗り越えられなかった壁だ。

諸葛亮子のあの台詞には、宮脇愛の心のままな気持ちが込められていた。助け合い、励まし合い支え合って演じきった役。良い千秋楽公演だった。

 


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敬愛する萩原朔太郎の『月に吠える』序文を思い出す。

「人は一人一人では、いつも永久に、永久に、恐ろしい孤獨である」

続けて、詩人は言う。「我々の顔は、我々の皮膚は、一人一人にみんな異つて居る。けれども、實際は一人一人にみんな同一のところをもつて居るのである。この共通を人間同志の間に發見するとき、人類間の『道徳』と『愛』とが生れるのである」

そして、我々はもはや永久に孤独ではない…。

 

水魚の交わり」という仲の核心にあるのは、そういう詩的なものではないか。少なくとも、諸葛亮子と、彼女を慕う友である劉備桃花との仲にはそれを感じた。

 

この劉備桃花を演じる横野すみれ、アイドルを卒業して再出発の、これが一歩目の舞台だった。

昨年10月の初舞台『クォンタムドールズOSAKA』、今年7月の前作『アリスインデッドリースクール ビヨンドOSAKA』、どちらも生死のかかった内容だっただけに、感情の発露が激しく、観客をその渦に飲み込んで心奮わせる効果もあっただろうが、今作はコメディタッチの学園モノとあって、勢い熱情だけでは一筋縄にはいかない。伝えたいのは「友情」である。

 

草間玲、百村信子がそこに生きていた。彼女の中で絶えず脈打っていた過去の二役が、温かい「友情」の表現を深めたのだ。

舞台を通じて出来た、自分の役との、キャストの皆との、観に来てくれた人たちとの繋がりは、今回の舞台が終わっても変わらない、というようなことを、終演後の挨拶で、曹孟子役の高瀬川すてらさんが言っていた。

昨年クォンタムのときのアーデルハイドという魅力的な悪役、そして今回の凛々しく真っ直ぐで不器用なところが愛らしい曹孟子、思わず魅了されてしまうキャラクターへと息を吹き込めるのは、「経験」あってこそ… つまりはどれだけの役と出会い、キャストの仲間たちと出会い、観客に届けてきたか。そしてそれをどれだけ大切に抱え続けてきたか。

そんな「経験」の芽吹きを、すーちゃんに感じられた舞台だった。縦横無尽のコミカルな演技、これまでより本格的に取り組んだ殺陣のために、動きや覚えることも多かったという。そんな新しい挑戦も踏みしめながら、再出発の確かな歩みを見た。

 


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10/29 ひめキュンフルーツ缶"2010-2017"卒業~今までも、これからも~

 

10月29日、愛媛行のバスで、急に実感が湧いてきた。私の知るひめキュンフルーツ缶は、今日卒業のラストライブを迎える。それを見届けるために、数年ぶりに愛媛に向かっているんだ、と。

 

大街道のバス停に着いた頃には、台風は過ぎていた。もしものことを考えてかなり早めの便で行っていたので、余った時間で商店街をふらふら歩く。大街道にも銀天街にも、思い出がたくさんある。

松山市駅まで辿り着いたところで、会場の方へ戻りたくなくなってしまった。それでも開場の時間が近づいて来ていたので、ゆっくりと向かう。一歩ずつ、一歩ずつひめキュンの卒業へ進んでいくのが悲しくて、涙を止められなかった。

 

 

松山サロンキティに着いた頃には、番号順の整列が始まっていた。280番台だった私は一番最後だろうと思っていたのだが、列は裏の公園の奥まで続いていて、どうやら300番台後半まで並んでいるようだった。

350人超も本当に入るのか、と心配しながら入場。私の番号の時点で、出入口付近まで人が詰まっている。この状態ではこれ以上入らないので、前方ブロックをもっと詰めさせてスペースを空ける。その流れに乗ってそこそこ前の方まで行けてしまったが、身動きもままならぬ死のゾーン。開演まで、苦しい、しんどい、座りたい以外の感情を失う。

 

聴き慣れたSEが負の感情を吹き飛ばす。これが明けて、一曲目に何が来るかもわかっていた。

『アンダンテ』2013年のメジャーデビューシングル。

リリースイベントや定期公演で何度も遠征して、土曜夜市やひめキュンショップでのライブ、愛媛日産、宇和島バスツアー、どこかの山奥の運動公園の夏祭り、そして東京のひめキュン祭。一番夢中で通っていた13年夏の思い出がぶわっと蘇ってきて、ここでもういきなり泣いてしまった。

 

 

ひめキュン卒業ライブ セットリスト

1.アンダンテ

2.それ冗談!これ本気!!

3.ワタシダイイチキボウ

4.ガールズドントクライ

5.ぐるぐる

6.iの奇蹟

7.恋のプリズン

8.Seize the days!

9.果てしなき旅

10.恋愛エネルギー保存の法則

11.フリーノート

12.伊予魂乙女節

13.絶望よ!こんにちは

14.モノクロビタミン

15.デッドギミック

16.飛びかうフール

17.モラトリアム

18.絶望アロー

19.8分の1のブレス

20.TEAR DROPS

21.ミスターA

22.ハルカナタ

23.恋が止まらない

24.キラーチューン

25.You stay dream

 

EN1.ネバーエバー

EN2.青の少年

EN3.例えばのモンスター

 

WEN1.卒業の日(with 河野穂乃花)

WEN2.ひめキュン参上!(with 新生ひめキュン)

 

 

卒業が決まってからの最後のツアーには、7月末の神戸太陽と虎に行った。過去のツアーや、四星球とのツーマンなど、楽しく苦しい(?)色々と思い出深い会場だ。2年、いやもっとぶりだろうか、久しぶりにひめキュンのワンマンを観に行って、このとき危うく倒れかけた。絶望的に体力が落ちていた。

この日のサロンキティはほとんど身動きが取れなかったため、太陽と虎のときほど飛んだり跳ねたりで体力は使わなかったが、とにかく立っているだけで辛い密集具合。

 

そんな状況でも『ワタシダイイチキボウ』が来れば拳上げ声を出すし、『恋のプリズン』が来たら踊りだす。『Seize the days!』では「ここは休憩した方がいい」と必死に説得する天使を「構うもんか、ぶちかませ」と悪魔が撥ね退け、揉みくちゃの渦に飛び込む。というかサークル空けられるスペースどこにあったんだ。

 

身体がついて行かなくても、気持ちはあの頃と何も変わらなかった。ひめキュンのライブが変わらず熱かったから。メンバーが最高に楽しんでいる分、こちらも負けじと楽しんだ。真剣勝負、これがひめキュンのライブだ。

 

 

好きなグループの曲となると、一番好きな曲はなかなか決められない。そんな私だが、ひめキュンの曲で一番好きなのは『果てしなき旅』だと即答できる。サビで「さぁ一緒に行こうよ」と歌ってくれるのが、とても温かい曲。

旅の途中、どんどん登っていって、「僕らの街」を上から見たときに、ああ、あの明りのひとつひとつ誰かが過ごしているんだ、と気づく。そこに暮らす人々のことが、よりわかってくる。より好きになる。ひめキュンが果てのない旅に出るように、それぞれがそれぞれの旅に出る。不安、悩み、葛藤… 強敵揃いモンスターと、誰もが戦っていかねばならない。だからこそ、「さぁ一緒に行こう」と歌うのだ。

 

落ち込んで前に進めなくなったとき、何度もこの曲に励まされた。そしてこの曲の歌詞にあるように、ひめキュンフルーツ缶とは「辛い時はいつでもここにおいで笑顔が全部包んでいく」… そういう場所だと実感した。

終演後の最後の握手で、岡本真依にこのことを伝えたとき、私は泣いてしまったが、彼女は「ひめキュンの曲好きでいてね、これからも聴いてね」と笑顔で答え、「またね」と見送ってくれた。ああ、やっぱり。いつでも戻れる場所なんだ。大好きだなあ、ひめキュン。涙は相変わらずだったが、笑顔になれた。

 


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5人のひめキュンが最後にもう一度見られたのも嬉しかった。岡本真依、奥村真友里、菊原結里亜、谷尾桜子、そして、河野穂乃花。やっぱり5人でひとつだ。

そんな流れで新生ひめキュンが登場したのは、まだ心の整理も何もついていなかったので、正直戸惑った。しかし新生の子たちも交えて、皆で『ひめキュン参上』を歌ったとき、橋が架かったというか、終わりと始まりが繋がって輪になったような感覚になって、「この子たちがひめキュンを受け継いでいくんだなあ、がんばれよ」という気持ちになった。

実を言うとこの瞬間までは新生ひめキュンなんてまったく興味なく、この先見るつもりもさらさらない、なんて思っていたのだが、また近いうちに観に行こうかな、と少し思えた。

 

 

素敵な最後だった。しかし『バズワード』が聴けず終わってしまうのは寂しい。そんな思いが爆発したのか、終演後にちょうど流れ出した『バズワード』のBGMに合わせて、フロアに残ったファン皆で大合唱。

「世界は時々夢を見て 僕等の真上で光ってる 生きて行く気持ちのつぼみを 大事に大事にあたためた 抱えたものがそれならば 僕等は夢を見る」

どこまでも、どこまでも届いてくれ、という気持ちで、出ない声ふりしぼって歌った。

 


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大街道で飲んで、銀天街のネットカフェで気絶。そんな僕のところにでも、新しい朝は規則正しくやってくる。嘘みたいに晴れた松山の街を少し歩いて、サロンキティまで行こうとして、やめた。帰りのバスを取って、待合でぼんやりと座っているとき、不意にこのフレーズが頭の中に響いた。

「アイの奇蹟を信じますか?」

 

10/22 わーすた LIVE TOUR 2017 パラドックス ワールド 初日仙台公演

 

 

月曜の飛行機が欠航になり、帰れないことが確定した状態で仙台へ向かう。もうどうにでもなれ、という連中が集まるからなのか、こういう日の公演はとにかく盛り上がる。

 

整理番号Sのほぼ最後だったので、上手後方に位置付ける。同じような番号の知り合いも固まって、みんなで開演を待っているときに、ちょうど去年のツアー初日広島を思い出す。あのときは知り合いもなく一人だったが、現在ではこのドキドキを共有できる仲間がたくさん居る。わーすたの「わ」についてなんとなく考えてみたりしているところに、松田美里の影アナ。

…間もなく「パラドックスワールド」という掛け声の入ったovertureと共に、私たちはこのツアーの世界へと吸い込まれていった。

 

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仙台1部 セットリスト

1.最上級ぱらどっくす

2.ワンダフル・ワールド

3.ぱわわわわん!!!パワーパフガールズ

自己紹介MC

4.うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

5.完全なるアイドル

6.好きな人とか居ますか(廣川・三品)

ダンスパート

7.らんらん・時代(小玉・坂元・松田)

MC

8.あこがれストリート

9.Stay with me baby

10.Magical Word

11.NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2

12.約束だから

13.Just be yourself

14.恋するにゃこたん~フリもフラれもあなたのまま~

 

EN1.グーチョキパンツの正義さん

EN2.いぬねこ。青春真っ盛り

 

 

一曲目『最上級ぱらどっくす』は、前々日豊洲のリリースイベントで初めて生で観た。ら抜きが気になるという薄っぺらい理由で全く聴き込んではいなかったが、キャッチーだし振付もマネしやすいので楽しめた。

「探してるモノは 見えないものかも」という歌詞は、私の好きな『星の王子さま』の「かんじんなことは、目に見えない(L'essentiel est invisible pour les yeux)」を髣髴させるお気に入りのフレーズだが、全人類共通の魔法、その答えが「努力」というのは、しかもそれをあの子たちに歌われてしまうと立つ瀬がない。もっと深く、その源の「好き」だとか「楽しい」、響きを合わせるなら「夢中」のような答えを示してくれた方が、もっと夢があったのではと思う。

 

冠しているシングル曲を一曲目に、続けて『ワンダフル・ワールド』で盛り上げる流れは前回ツアーと同じ。一気に熱を帯びる会場、Cメロのコールも全力で叫…んだはいいものの、間奏が足されていて肩透かしをくらう。だけではなく、通常この曲は、最後に右端の坂元葉月と隣の三品瑠香が見つめ合い終わるのだが、今回は右端がみりてこに。はーちんは左端。思えば、これが初めて私たちの前に姿を現したパラドックスだった。

 

 

定期公演わ-7で振付が変わった『ぱわわわわん!!!パワーパフガールズ』をこの流れに置いてくるのはなかなかカッコいい。キレよく踊るメンバーを見て、成長を大いに感ずる。「So 未来は過去へと 変わっていくよ この一秒も」

 

自己紹介のMCからうるチョコ、完全なるアイドルと来たところでスピードを緩める。小玉・坂元・松田の三人が退場し、『好きな人とか居ますか』を廣川・三品で歌い上げた後、そのまま二人でダンスパフォーマンスへ。衣装を着替え合流した三人も加え踊り出したところで、裏で「ハッピーハッピー」鳴ってるのは『にこにこハンブンコ』だとようやく気づく。なるほど、そういう流れか!と思っていると、ダンスパート終わりに流れたイントロはまさかの『らんらん・時代』、後のMCではーちんが言っていたまんま、「にこにこハンブンコちゃうん?…らんらん・時代やーーー」となった。

 

小玉・坂元・松田の歌う『らんらん・時代』、それはもう耳の穴かっぽじってよく聴いた、と言いたいところだが、興奮しすぎてあまり覚えていない。りりかの声がよく通っていたのが印象に残っているが、全体にまだまだ不安定だったような、どうだったか。次回(あるのか?)はじっくりと聴いてみたい。

 

 

MC明けて、前日「この二曲のうちどちらが聴きたいか」というアンケートで『キス kiss スキっ!』を僅差で破った、『あこがれストリート』が披露された。

大好きな曲だし楽しめたが、この曲をここでやる意味はいまいち摑めなかった。ストリート生楽曲を彼女たちが歌い継ぐことは大切だが、だからといって無暗にわーすたのセットリストに組み込むのは、両者を軽んじることになりやしないか。

アンケートで決める、というのが特に引っかかった。この場所ではこの曲しかない、このライブには、このセットリストにはこの曲しか入る余地がない、そこまで力強く提示してほしかった。そこまでしてくれないと納得がいかない。基本は「わーすたのライブ」が見たいのであり、受け継がれるスト生の魂は、わざわざ楽曲を披露せずとも、わーすたの中に生き続けているのは承知だからだ。それこそ、肝心なものは目には見えない。

それでも何らかの想いがあって、どうしても顕現させねばならず、絶対にこのセットリストにこの曲を組み込まねばならない、でないとこのライブは完成しない、という場合でもなければ、殊に彼女たちの大切なライブツアーに関してはとても首肯けまい。

 

と、偉そうに言ってはみたものの、私の鈍感で、隠された特別な意味を見逃している可能性は多分にある。しかし、向こうが真剣にセットリストを組んでくれている分、こちらも、私の理解の及ぶ限りは真剣に考えたいと思う。

 

 

少し飛ばして2部に移りたい。

 

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仙台2部 セットリスト

1.最上級ぱらどっくす

2.Magical Word

3.完全なるアイドル

自己紹介MC

4.ゆうめいに、にゃりたい。

5.Doki Doki today

6.にこにこハンブンコ(小玉・坂元・松田)

ダンスパート

7.Zili Zili Love(廣川・三品)

MC

8.NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2

9.恋するにゃこたん~フリもフラれもあなたのまま~

10.グーチョキパンツの正義さん

11.ちいさな ちいさな

MC

12.いぬねこ。青春真っ盛り

13.約束だから

 

EN1.ねぇ愛してみて

EN2.うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

 

 

1部と2部ではovertureに変化があって、あちこちから「パラドックス」「最上級」「パラドックスワールド」などと聴こえてくる。1部でチラと姿を見せていたパラドックスワールド、その奥地まで知らず識らずのうちに足を踏み入れてしまったようだった。

 

世界というものは、こうも唐突に切り替わるものなのか。いつものようにパフォーマンスする『Doki Doki today』、1番を歌い切ったところでバチバチと音が歪む。一瞬の出来事の後、気が付けば2番の頭をはーちんが歌っていた。どうやらメインボーカルとダンスメンバーが入れ替わった世界に飛ばされたらしい。と、同時に今回のツアーを理解した。

すげえ。パラドックスワールド、すげえ。と何度も仲間と顔を見合わせる。それくらい衝撃だった。

 

そこからはもうパラドックスが止まらない。『Zili Zili Love』は廣川と三品の歌割が逆だった。なるほど、こうやってライブでパラドックスを表現してくるか。しかも1部では垣間見せただけで、2部で一気に飲み込んでくるなんて。

 

 

パラドックスに気づいてから感動しっぱなしで、気持ちが高ぶっていたからか、しっとりとアレンジされた『約束だから』が、2番に入って普段の曲調へと加速する所で、いつになく号泣してしまった。

仙台。この場所には、大切な友人がある。四月に関西から旅立っていった彼と会うのも、今回の仙台遠征の大きな楽しみだった。そんな彼と連番して、しみじみと「いつもと同じ帰り道の 交差点過ぎて」別れた日のことを思い出していた。儚くて、愛おしくて、切なくて、だから綺麗。あの日の涙を美しく歌ってくれるわーすたに、心から音楽を感じた。

 

 

色々と纏まらない感想だったが、ツアーとしては面白い仕掛け満載で、次に行けるのはいつになるかわからないが、その間に変わる部分出てくるだろうか等々、これからが楽しみである。

9/16 わーすた定期ライブ わーすたランド わ-7

 

昨年、彼女たちが定期ライブわ-3で渋谷 TSUTAYA O-EASTに立った時、大きな挑戦に思えた。しっかりと構成を練り上げ、「わーすたの世界観」を大事にした、グループとしてはこれまでの総決算であり、ツアーへ進むために踏み固めておかねばならぬ土台のような位置付けのライブだった。

「わーすたはもっと上を見てるよ」と、わ-3直後のブログに書いていた廣川奈々聖。あのとき、O-EASTという通過点に、メンバーが感涙してしまっていたならば、現在のわーすたはなかったかもしれない。もうあまり大きく感じられなくなったO-EASTに立つ今の彼女たちを見て、ぼんやりとそんなことを思った。

 

 

【1部】
Overture(海ver.)
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
ワンダフル・ワールド
ーーーMCーーー
Magical Word
恋するにゃこたん~フリもフラれもあなたのまま~
にこにこハンブンコ(美里・梨々華・葉月)
ーーーVTRーーー
ゆうめいに、にゃりたい。
ーーーMCーーー
キミ恋てれぱしー(スト生曲)
黄昏バイシクル(スト生曲)
ねぇ愛してみて(瑠香・奈々聖)
ダンスパート
約束だから
ちいさな ちいさな
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ーーーENCOREーーー
いぬねこ。青春真っ盛り(intro long&おかわり)

【2部】
Overture(海ver.)
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
ぱわわわん!!!パワーパフガールズ
完全なるアイドル
ーーーMCーーー
きっとFor you!(スト生曲)
Peace!Smile Girl!(スト生曲)
Just be yourself
ーーーVTRーーー
いぬねこ。青春真っ盛り
ーーーMCーーー
好きな人とか居ますか(瑠香・奈々聖)
ダンスパート
Doki Doki♡today
ワンダフル・ワールド
約束だから
ーーーENCOREーーー
グーチョキパンツの正義さん。
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ(intro long)

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今回のステージは「海」

Overture、吹き出すシャボン玉の泡に包まれながら、私たちはわ-7へと潜っていく。

一曲目『NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2』で海中遊歩を諒解したのも束の間、『ワンダフル・ワールド』での「空気を吸って始めましょう」に戸惑ったり、いやでもそれが「現実ファンタジー」なのかもしれないと『Magical Word』を強引に結び付けたり。

 
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全体的に工夫の凝らされた構成だった。廣川・三品がアコースティックVer.で歌い上げたり、残る小玉・坂元・松田の三人でのダンスパフォーマンスなど、メンバー発案だという演出も楽しめた。なにがはじまるのやらとドキドキしながら見入っているうちに突入する『Zili Zili Love』のイントロが最高にオシャレ。

 

こういった新しい試みが、わーすたの「定期ライブ」に臨む姿勢を映している。既存曲『ぱわわわん!!!パワーパフガールズ』の新振付にも、それは存分に表れていた。激しいかっこよさの中にも、可愛らしさがある、まったく生まれ変わった個性的なダンスは、ここまで踊れるようになった、ここまで表現できるようになったという成長が見られたし、それをこの場で見せたいんだという思いも感じられた。

 

 

 

セットリストについては、やはり今回特筆すべきは、ストリート生時代の楽曲だろう。

直前のMCで「久しぶりにやる懐かしい曲を」と言った時点でなんとなく予感したが、それでも『キミ恋てれぱしー』と聞こえた瞬間は崩れ落ちそうになるくらい興奮した。大好きな曲だ。

 
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ライブ中はとにかく、久しぶりにパフォーマンスする彼女らの「思い入れのある曲」たちをひたすら楽しんでいたが、終演後は複雑だった。

ストリート生時代の曲は、昨年のツアーで、最高の形で演り切られていたからである。各地で青春の日々の追憶を集め、未知なる明日への約束を鞏固に結んだからこそ『約束だから』は昨年のツアーを象徴する曲と成り得たのではないか。

青春の日々は、儚くて、愛おしくて、切なくて、だから綺麗なのである。そう何度も覗き見るものではない。「また会う日まで」と告げた別れは、「君と約束の小指、忘れない」の言葉は、決して軽々しく扱ってはならない。『約束だから』という楽曲そのものを殺しかねないからだ。

 

然し、なぜいまこのタイミングで披露したのか、それを考えると、納得のいく答えに辿り着いた。

iDOL Street ストリート生は、この夏、全員卒業という形で終わりを迎えた。大切な場所へ思いを馳せるには、感謝を歌うには、「あの頃」の自分と向き合うには、そしてもう一歩進むには、またとない機会だった。

 

懐かしの曲を今回は披露。
やっぱり楽しくて なんだかすごい気持ちが良くて
「あの頃」を思い出したり。

 

あの頃からずっとずっと変わらず
応援してくれてる方も 昨日いて

 

まだまだ未熟だけど
変わりたいと思って アイドルになった
あの頃の私から 何か変われたかなって🍡

 


それからわーすたの松田美里から
応援してくれとる方には、こういう姿も
みてもらえて嬉しかった♡

これからもよろしくねという
気持ちを込めたんだけど、届いた?🐰ふふふ

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「海」のステージだということも、改めて考えたい。

フランスの詩人ボードレールは、『人と海 L'Homme et la mer』という詩で、「海は君の鏡 La mer est ton miroir」だと言っている。人と海とは、どちらも深淵を持っている点で似ている。

底も知れぬ海中に潜っていくと同時に、己の心の奥深くにも辿り着いていたのだ。自分自身をよく見つめ直す、今回はそういうステージだったのかもしれない。そのためにもストリート生時代の楽曲は必要だった。

 

『Peace! Smile Girl』が攻略のカギを握っていた。蜿蜒繰り返す波のような「同じ景色 同じ道を 通う毎日」の憂鬱を吹き飛ばす根源の感情、「笑ってピース!楽しもう」という一番大切なこと。それさえ忘れなければ、この広い世界どこでだって遊べる。どんな夢へも向かって行ける。

 

 

ツアーに臨む上で戦っておかねばならない重要なステージだった。

ファンの私としても、気づくことが多々あった。なにより一番は、一部も二部も頭を空っぽにして楽しめたことだ。ツアーも楽しみだし、いよいよボスが出現するという次回わ-8、その先の展開、それにフルバンドライブも。

廣川が「この5人でどこまで行けるかな」と言っていた。どこどこを目指す、ではなく、どこまで行けるかと問うている。未知なる歩みは涯を知らない。

 

8/10 iDOL Street ストリート生 夏の壮行会

 

通っていた小学校が統廃合でなくなったとき、なんとも言えない悲しさに胸が締め付けられたのを覚えている。昼休み走り回った運動場、必死に逆上がりを練習した鉄棒、友達と笑い合ったり先生に怒られたり色んな思い出の染みついた教室も、ひとつ残らずなくなった。

それでも昔を懐かしめば、そのどれもは鮮やかに蘇る。決して忘れることはないだろう。自分が育ってきた場所、「原点」とはそういう場所である。

 

ストリート生という場所が終わる最後のライブ。

会場である恵比寿CreAtoには、卒業生や先輩グループの面々が大勢集まっていた。皆がここまで繋いできたバトンを握りしめて、アンカーとして走り抜ける5人を見守るために。


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スト生 夏の壮行会セットリスト

1.恋してYES〜これが私のアイドル道!〜

2.いわゆるアイドル

3.Peace!Smile Girl

自己紹介MC

4.ココロのビー玉

5.僕だけのサンシャイン

6.全力!ダーリン

MC

7.あこがれストリート

8.黄昏バイシクル

9.secret base 〜君がくれたもの〜

卒業映像

10.Summer Street JUMP!!

11.キミ恋てれぱしー

12.絶対!Love Magic

 

EN1.YOU & IDOL

EN2.キラキラ☆ホリデー

 

 

 珠玉の楽曲たちを、キラキラと歌い踊る5人がいた。

「昔の人が信じたとおりに信じることができなければ、昔の人が経験したとおりに経験することができなければ、歴史なんて読まないほうがいい」とは、徳川時代国学者の説である。あの子たちは、先輩たちが信じたとおりに、経験したとおりに、ひとつひとつの楽曲に流れる歴史を、まっすぐ読み取り伝えてくれた。

歴史は鏡である。彼女たちそれぞれが、そこに自己を映す。ついに自分自身が発見できたとき、進むべき道が見えてくる。5人は今後について話してくれた。孰れも前向きな今後だった。

 

悲しいライブにはならなかった。壮行会ってなんだ、と疑問に思った武井紗聖がスタッフに教えてもらった「壮行会とは送り出すこと」、だからこそ「前向きだから、最高な気持ちで送り出してもらいたいんだ!」とブログに綴っていたのを思い出した。最高に楽しいライブだった。

 

 『YOU & IDOL』の歌詞が実感を伴って響いてくる。Aメロはアイドル、Bメロがファンの声。ハイテンションに懸命に、誰一人おいてけぼりにはさせぬよう場を盛り上げるキミの声を、いつまでもこの場所から聴かせてほしい。そして、僕のこの声を届けたい。

続くサビは双方の想いが重なって歌われる。

「ずっとずっとここにいたいんだ」そんな気持ちを爆発させて、お互いにハートからの声を届け合う。これこそが「キミと僕の大切なメロディ」であるから、「この瞬間はいつまでも僕とキミだけの宝物」となる。

 

『Summer Street JUMP!!』の「君が見てるこのステージが 時を止めてしまうよ」という一節を思い出さずにはいられない。永遠は一瞬間の裡にある。止まった時間は点となり、もう流れることはなく、私たちの時間から抜け出して、ずっとずっと残り続ける。

だから私たちは安心して進みだせる。「一緒に繋ぐあの未来を この笑顔に誓えますか?」

この曲は卒業映像、そしてスト生を振り返るMCの直後に置かれていた。涙を拭いて、キラキラとした笑顔でパフォーマンスする彼女たちを見て思った。「間違いじゃない 君を選んだことは」…

 

 

横野すみれを知ったのは、昨年のストリート生選抜 さますと を観たのがきっかけだ。歴が浅く見る機会も少なかったので、彼女のことはなかなか摑めずにいた。

女優という夢に向かって寡黙に実直に努力を重ねていく姿を、二度の舞台で見つめることができた。そしてその摑みづらかった彼女の、透き通るような美しさは、舞台に、芝居に向いていると感じた。

 

すーちゃんは『あこがれストリート』で、サビの最後のパートを任されていた。

「どんな夢みたいな夢でも 叶えるから 私を見ていて」

涙が止まらなかった。あこがれを追いかけて、ストリートを飛び出してもまだまだ走り続けるすーちゃんを、これからも見つめていたい。

 

 
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今回のライブで、この場所が、ストリート生という皆の「原点」が、どんな場所かということを知れた。わーすたの松田美里がブログで「iDOL Streetにストリート生が 存在してたことを 5人が最後に 全力で証明してくれた」と書いていた通り、5人が大切なことを伝えてくれた。

将来の夢、大きな希望を歌って卒業していった5人に、卒業生や先輩たちも前に進む力を貰っただろう。そしてまたいつか夢みる道の先で会えるといい。そんな未来を心待ちにしている。

 

 

7/30 アリスインデッドリースクール ビヨンド OSAKA

 

生きた人間が、だんだん死体に変わっていく。この恐怖を、長妻美玖演じる辻井水貴は「あたりまえのこと」だと斬り捨てる。「生きていたっていつか死ぬ。みんな少しずつ死体に変わっていくだけ」だと。

どこまでが人間で、どこからが死者なのだろう。

 

むかし観たモーニング娘。の舞台『ステーシーズ 少女再殺歌劇』を思い出す。

14から16までの少女が突然死に蘇る。歩き回る屍をもう一度闇に帰す「再殺権」は親族・恋人にのみ許され、彼らはかつて愛する人だったそれを165分割以上の肉塊へと解体する。

福田恆存が書いていた「愛欲は閉ぢられた世界であり、その底に沈殿して行けば、たとへ外部からの干渉や妨害が無くても、といふ事はそれ自身の完成の爲にも、死を必要とせずには濟まされぬものである」というシェイクスピアの解題を思い出す。残酷だが、これがひとつの愛の完成だ。

しかし劇中には、変わり果てた恋人を匿い、最後まで共に「生きよう」とした者も居た。これも彼の愛に違いない。愛、そして生死というものはなんと微妙なものか。

 

 

話を今回の舞台に戻す。

『アリスインデッドリースクール』は、アリスインプロジェクトの原点であり、改訂を重ねこれまで幾度も再演されてきた人気作なのだそうだ。

ある日突然崩壊する日常。動く屍から逃げ延びた少女たちが屋上で繰り広げる、強烈に人間らしい「生」の物語。

 

パンフレットにあった「取り残された屋上で、彼女たちが恐怖と戦い、飲み込まれ、それでも頑張って生きるために成長しようとする姿は、そのままキャストたちの今を反映しています」という演出・扇田賢氏の言葉そのままに、演技経験のまだ少ない少女たちが、プレッシャーや不安と戦い、稽古を重ね、皆で舞台を成功させようと奮闘する姿を、屋上の彼女たちに見た。

絶望的な世界の中で、彼女たちの「夢」と「絆」がキラキラと輝いていた。ものすごくいい演目だと思った。

 
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昨年の『クォンタムドールズOSAKA』に引き続いての出演となった横野すみれは今回、W主演の一人という大役を任せられた。百村信子は、すーちゃんの所属するiDOL Street ストリート生の中から、過去に東京で武井紗聖が演じた役柄である。(札幌では卒業生の吉村ほのかも演じていた)

 

そういうプレッシャーや不安の中でも、楽しんで毎日の稽古に励んでいたすーちゃん。

「この舞台観なかったらぜったい後悔すると思うよ!」「すみれのお芝居してる姿、観にきてね」の言葉から感じられる自信は、その裏に、出来なくて悔しくて泣いたこと、日に100回は踊り込んだこと、風邪を引いて寝込んだとき稽古がかなり進んだのを心配して台本と一緒に寝たこと等々があったのを知っているからこそ力強く響いた。

 
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肥川彩愛演じる墨尾優と百村信子は、ノ☆ビューンという漫才コンビを組んでいる。絶望に包まれた世界でも、二人は周りを笑わせる。優の無邪気で変幻自在なボケを、ノブが上手く拾い、敷衍し、伝えていく。屋上の皆は、死に直面した状況ながらも、思わず笑みをこぼす。そうして、生きていることを実感する。二人の生み出す「笑い」から生が広がっていくのを感じ、人間が「笑う」ということについて深く考えさせられた。

 

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ノブと優の息がぴったりで、客席からも笑い声がちらほら聴かれた。すーちゃん曰く、関西弁での漫才を聞き慣れているので、標準語は難しく、東京の漫才師のネタを見てよく勉強したのだそうだ。普段はポワンとした印象のあの子があれだけキレのある、それでいて嫌味のない自然な標準語のツッコミをものにしていたのは、相当の努力が窺われた。

 

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序盤の息がぴったりだったのもあって、終盤、ノブが衰弱して「…うん」としか返せなくなったシーンは余計つらかった。

とても難しい場面だったと思う。「うん」のタイミングが一秒遅い、または早いだけでも大幅に印象は変わってくるだろう。私は30日の千秋楽一公演しか観ていないので較べようがないのだが、特典会でこの演技についてすーちゃんに訊いたところ「その日によって早い遅いは違った」と言っていた。「この日が一番よくできた」とも答えていた。千秋楽のあれは、公演期間中に試行錯誤の末摑みとった、畢竟の「間」だった。

 

印象に残ったシーンで言うと、やはり「主役は最後に登場するんだよ」が強い。

たしかにあのときノブは、優の「可能性」の中に登場した。その事実は永遠に消えぬだろう。目が覚めて一人になった優は、昔の一人だったころの優とは違う。

一人じゃどうしていいかわからなかった優が、「今日はどこへ行こう」と歩み出せたのは、ノブと共に在るからだ。きっと、向こう側にだって行ける。

 
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主役以外も非常にキャラが立っていたので、ノ☆ビューン以外にも魅力的なコンビが多々ある。特に好きなのは、辻井水貴と堂本千百合。厭世的で人と関わりたがらない、しかしどこかで寂しがっているひねくれ者の水貴に、堂本さんがしつこくくっついているさまは微笑ましい。

生徒会長の青池和磨や、不良の紅島も好きなキャラクターである。会長の最期は本当につらくて涙が止まらなかった。

 

そういう好きなキャラクターや、好きなコンビが、終演後の挨拶で一斉に登場する。ノ☆ビューンが最後にキメのポーズを披露して屋上の扉から退場して行くのを見て、これは舞台でしか味わえぬ瞬間だなと思った。しあわせとせつなさと入り混じった感情で送り出した。

 

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小林秀雄は「毎日新しく幕があく。役者はその日その日の出來不出來で、氣心の知れぬ見物と協力して、まことに不安定な、脆弱な、動き易く、變り易い、又それ故に生きてゐる世界を創り出す。芝居は其處にしかない」と言っていた。いい芝居が観られた。

 

すーちゃんが最後の挨拶で「これからもお芝居に関わっていきたい」と言っていたのがとても嬉しかった。その夜のブログで「すみれはお芝居が大好き」と書いていたのも。

またの機会が楽しみである。そして、今回共演した皆ともまた会えるといい。お互い、パンフレットに書いた夢を叶えて。

 

6/23 わーすた定期ライブ わーすたランド わ-6

 

一抹の不安を抱えていた。

4月22日のフルバンドの興奮が、音楽的高翔が、瞬間の無限が、あの日以来の国内単独ライブである わ-6 に翳りを与えていた。

 

開演前、私は緊張による吐き気と戦っていた。しかしこの日はそれが心地よかった。意識のどこか深いところで私は、これから始まるライブにドキドキしている。それが実感できたからだ。

 


今回の会場である新宿ReNYは7、800人は入ると聞いていたが、その実500人ほどが限界かと思われる広さだった。

B200番台後半で入場、上手最後方に位置づける。円形の変わったつくりになっていて、どこからでも見やすそうなのは好印象だった。

 

坂元葉月のブログからセットリストを引用する。

 

【1部】
Overture
スイカ割り(奈々聖生誕💚)
いぬねこ。青春真っ盛り
完全なるアイドル
ーーーMCーーー
Magical Word
好きな人とか居ますか
ーーーVTRーーー
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
らんらん・時代
Zili Zili Love
Stay with me baby(新振り付け)
ーーーMCーーー
ゆうめいに、にゃりたい。
Just be yourself
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ワンダフル・ワールド
ーーーENCOREーーー
恋するにゃこたん~フリもフラれもあなたのまま~(新曲)
ーーーMCーーー
いぬねこ。青春真っ盛り

わーすた 公式ブログ - 坂元葉月*わのろく*799 - Powered by LINE

 

一曲目『スイカ割り』、廣川奈々聖の生誕企画により一面が緑色に染まる。

出だしから感涙し、まともに歌えないなっちゅんへの愛おしさが途端に胸中を占め、不安は居場所を無くしていた。

 

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それからはひっきりなしに、楽しさや嬉しさ、驚きや感動、誰々への愛おしさが席を取り合い、余念の入る隙は毫もなかった。

なにを不安に思っていたのか、これがわーすたのライブだ。あのフルバンドライブを演りきったからといって、火が消えるような子たちではあるまい。

 

 

そう実感できた、そんな1部が『好きな人とか居ますか』を始め、『らんらん・時代』や『Zili Zili Love』など聴かせる曲で構成されていた点もよかった。


いつも聴き入ってしまう『好きな人とか居ますか』、フルバンドライブで生音と本気でぶつかり合い成長した三品瑠香の歌声が素晴らしかった。

それを支えるなっちゅんも忘れてはいけない。負けず劣らぬ歌声で均整を保っているからこそ、あの二人のメインボーカルが成立するのである。

彼女のメンバーカラーの「緑」と属性である「木」が思い浮かぶ。なっちゅんという「自然」の広大さをまたも思い知る。

 

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『Zili Zili Love』は最近、はーちんに注目している。感情表現にこだわっていて、特にこの曲は難しいのだと雑誌Marqueeのインタビューで答えていた。

「あれ?はーちんブチキレてる?」と思ってしまうくらい力が入りすぎているときもあるのだが、この日は余裕のある表情で踊れていた。

つまりはダンスにも余裕が出てきたということだ。見ていて危ういと思う部分も無くなってきた。

 

嬉しくて心がぽかぽかしているタイミングでの『Stay with me baby』はズルい。本当に良い曲で、すっかり大好きになってしまった。

映像でしか見たことのない人も、ぜひ生で観て聴いて感じて、心摑まれてほしい曲だ。

パフォーマンスメンバー(小玉・坂元・松田)のダンスにも要注目。

 


中盤は聴かせ、終盤に盛り上げていく。本編ラストは『ワンダフル・ワールド』で駆け抜ける。

ちなみにこの曲の最後、瑠香とはーちんが見つめ合うところは、初めの振りでは全員が前を向いて終わることになっていて、しかし瑠香の体勢的に横を向く方が楽というので向かい合うことになったのだそうだ。翌日のバスツアーではーちんから聞いた。

 

 

アンコール明けには待ちに待った新曲。

『恋するにゃこたん〜フリもフラれもあなたのまま〜』は、ノリのいい、だけでなく胸がキュンとする、ロックンロールカワイイ曲になっている。

開放感あふれる野外で聴けたなら最高だろう。夏フェスをこの曲と共に駆け抜けるのが今から楽しみだ。

Bメロ松田美里のパートがお気に入りだが、それ以上に2番サビ前の「どうする?!」が好き。フェスで盛り上がりに任せ、声裏返るほどハジけてほしい。

 

 

アンコールラストは二回目の『いぬねこ。青春真っ盛り』

自由度の高いアンコールバージョンもこれはこれで好きだが、代表曲を二回持ってくるこの流れもそろそろ飽きてきたというのが率直な感想。

 

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【2部】
Overture
グーチョキパンツの正義さん。
Just be yourself
いぬねこ。青春真っ盛り
ーーーMCーーー
Doki Doki♡today
にこにこハンブンコ
ーーーVTRーーー
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
完全なるアイドル
Magical Word
約束だから
ーーーMCーーー
恋するにゃこたん~フリもフラれもあなたのまま~(新曲)
ねぇ愛してみて(新振り付け)
ワンダフル・ワールド
ちいさな ちいさな
ーーーENCOREーーー
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

 


2部は『グーチョキパンツの正義さん』でいきなり攻めていく。

これもバスツアーで聞いた話だが、この曲には最初『くるくるパー(表記不明)』という仮タイトルが付いていたが、放送コードにひっかかるためボツになったと。

ちなみに『完全なるアイドル』は『はらわたキャッチボール』…

メジャーデビューシングルが恐怖の血みどろスプラッターになるところだった、危ねえ、

 

 

閑話休題
中盤、大好きな『Doki Doki♡today』からの『にこにこハンブンコ』で最高潮。

この日の小玉梨々華の落ちサビがめちゃくちゃ良くて、危うく泣きかけた。毎回ここは傾聴している。りりかの歌声の成長、楽しみだなあ。

 

 

VTRから『うるチョコ』、『完全なるアイドル』、『Magical Word』と来て『約束だから』で終盤へ。

 

新曲からの『ねぇ愛してみて』の流れ、新しいわーすたをまた感じられた。

この曲はフルバンドライブで披露して以来だったが、あの時はアコースティックだったのでその印象がどうしても強く、始終違和感を拭えなかった。またじっくりと聴いてみたい。

 

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本編ラストは『ちいさな ちいさな』

手を繋いだ両隣は知り合いだったのだが、私がわーすたに通い始めた頃には、まさかこうやって東京まで行って共に定期公演を観るなんて想像してなかったので、そういう思いが溢れてきて危うかった。相変わらず良い曲だな、ちくしょう。

 

 

アンコール明けには『NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2』
そして最後に二回目の『うるチョコ』で終演。

 

エンディングのメンバー挨拶では締めの坂元葉月が熱狂的大盛り上がりの中「わーすたもわしゃわしゃ…」的な謎のMCで最高のステージクリアへ導いてくれた。あれ何て言ってたの?

 

 

最後、「私たちの夢を見させてくれるのは皆さん」だと、目に涙を浮かべながらはけて行ったなっちゅんの顔が忘れられない。

不安も何もかも吹き飛んで、最高に楽しむことができた僕らを見て、そう言ってくれたのだろうか。僕たちも気持ちは同じだ。

 

それを見失っていた自分に憤りつつも、この日のライブに感謝した。りりかの言う、「愛にあふれる」ライブ。定期公演。

 

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次なるステージは夏の終わり、昨年わ-3のように、夏フェスの成果が存分に表れるような定期公演になればと願う。