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廣川奈々聖と万物照応

 

古典の作者の幸福なる所以は兎に角彼等の死んでゐることである。

我我の──或は諸君の幸福なる所以も兎に角彼等の死んでゐることである。

 

 

芥川龍之介侏儒の言葉』から引いた。この小論に取り掛かる上で、私はこれを痛感する。文字盤を叩けば叩くほど、彼女の玻璃性の繊細なる心像に罅が入っていくのではないか。そんな不安に苛まれながらも、私は書く。侏儒なる私の憧憬を、親しげなる眼差しもて見送ってくれる廣大さ、これを彼女の裡に證明できるものと同時に信ずるから。

 

 

四月二十二日以降、私が憑り付かれている Correspondances という概念。発端は、フルバンドライブの転換で流れた、わーすた五人がそれぞれの担当カラーに応じた性質の五大陸を旅していくという映像。振付の高田あゆみさんが書いていた解説で、廣川奈々聖のグリーンが「木」であると知り、途端にわが脳髄はこの詩に支配された。

 

 

照應(コレスポンダンス)

 

自然は神の御社にして、その生ある柱は

時折り朧ろの言葉を洩らす。

人、象徴の森を經てそこを過ぎゆき、

森、親しげなる眼差しもて人を見送る。

 

暗く深き統一の中に遠方より

混り合ふ長き反響のごとく、

夜のごとく光のごとく茫漠として、

馨と色とまた音は相呼び相應ふ。

 

幼兒の肌のごとく爽やかに、木笛のごとく

和やかに、牧場のごとく緑なる、馨あり。

──また、饐ゑたる、豊かなる、誇りかなる馨は、

 

龍涎、麝香、安息香、燻香のごとく、

限りなきものの姿にひろがりゆき、

精神と官能の悦びの極みを歌ふ。 (村上菊一郎訳)

 

 

La Nature est un temple où de vivants piliers
Laissent parfois sortir de confuses paroles ;
L'homme y passe à travers des forêts de symboles
Qui l'observent avec des regards familiers.

 

Comme de longs échos qui de loin se confondent
Dans une ténébreuse et profonde unité,
Vaste comme la nuit et comme la clarté,
Les parfums, les couleurs et les sons se répondent.

 

II est des parfums frais comme des chairs d'enfants,
Doux comme les hautbois, verts comme les prairies,
- Et d'autres, corrompus, riches et triomphants,

 

Ayant l'expansion des choses infinies,
Comme l'ambre, le musc, le benjoin et l'encens,
Qui chantent les transports de l'esprit et des sens.

 

小林秀雄が「『惡の華』一巻は數年來、つまり僕の若年の決定的一時期を殆ど支配してゐた」と書いたように、青い私もボードレールの詠じたこの病める花々に魅了されている。まだほとんどの詩は解せず、この詩もそのひとつだったが。

 

なっちゅん と La Nature(ナチュール)、こんなくだらない類似にも欣喜雀躍してしまう程に、この詩とあの子が繋がった。なっちゅんは「自然」なのだ。

 

見落としてはならない点がある。彼は、そして彼女は、この自然の寵児たること、つまり天才であることを欲しただろうか。

辞書を狂ったように引き、幾度も推敲を重ね、完璧を求めたボードレールと、誰よりも忠実に踊りたい気持ちから、角度まで教わった通り覚えてくる廣川奈々聖。答えは自明である。

浪漫派藝術、ワグナー論にて彼は語る。「私はただ本能にのみ導かれる詩人達を憐れむ。私は彼等を不完全と信ずるのだ。大詩人の精神生活の中には、一危機が必至であり、彼等は己が藝術を推理し、自分が則して制作したその隠微な法則を發見し、その研究から、詩的制作に於ける無謬性を神聖な目的とする一聯の戒律を抽出せんと欲するのである」

 

音楽でも絵画でも文学でも、それは自然発生的な産物ではない。藝術には「人」が要るのだ。すぐれた批評家たる「人」が。

「自然」としてのなっちゅんを「人」としての廣川奈々聖が厳しく批評している。「暗く深き統一の中に遠方より混り合ふ長き反響」は其処より来る。

 

 

私は廣川奈々聖の歌声が好きだ。

不用意に触れたならたちまち壊れてしまいそうなあの繊細さ、ふわっと柔らかな布をかけてくれるがごとき優しさ、微醺を誘う怪しげな馨り、時間を超える煌びやかな光。聴覚が、触覚が、嗅覚が、視覚が交感し、まさに「限りないものの姿にひろがりゆき、精神(l'esprit)と官能(des sens)の悦びの極みを歌ふ」

彼女の歌声こそが、私を高翔させる。──人生の上を飛びめぐり、花や聲なき萬象の 言葉をいとも易々と解し得る身は幸ひなるかな!

 

 

誰が彼女の未来の歌声を想像出来よう。それは感覚の「照応」を知り得ぬ者、彼女の「詩情」を知り得ぬ者、ああ、羨ましくも「無限」を知り得ぬ者だ。

限りなきもの。寄り添うもの。未知なるもの。それが高翔でなく、堕落だろうとも構わない。美しきもの。汝いづこより来たるや。何処でもいい。私はあの馨を求めている。

 

「刹那が各人の秘密を抱いて永遠なる所以」… また少し摑めた気がする。否、死ぬまで解らないかも知れない。

 

4/22 わーすた「The World Standard ~夢があるからついてきてね~」

 

周りの睡眠を妨げぬよう声を殺すも、ピカチュウのうたで耐えきれず大笑いしてしまった「あにそん。青春真っ盛り」高速バス会場を経て、夕方には東京着。小雨に急かされながらお台場へ。

 

ずっと楽しみにしていた4月22日、前夜眠れるはずもなく、体調不良ここに極まる。概して特別な現場とはそういうものである。雨も強まり、流されるがごとく地下へ。

 

 

Zepp DiverCity Tokyo、収容人数2000人超。これまでのわーすたワンマンで最大規模となる会場、そしてフルバンドを擁してのライブ。

 

初めての試みだらけのこの日に向けて、三品瑠香は前日に「明日はもう明日しかないし、踊る一歩も歌う一言も1秒1秒全部そこしかないんだから、絶対逃しちゃだめだよ」「どの瞬間もしっかり目に焼き付けて全身で感じてほしい」と書いていた。

近い言葉で「本番は一回しかないからね。一回で全部出しきるからね。わーすたは本気です。わーすたのスタッフさんも本気です。だからみんなも本気で観に来てね」と書いていたのは小玉梨々華。開演直前、そんな二人の言葉を思い返して気持ちを引き締めた。

 

 

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オープニングムービーが流れ、バンドを伴ったOvertureが会場を沸かせたとき、パッと思い浮かんだのは、「秒針もクルリ回るけど 神様も知らない瞬間」の一節。そして幕が上がり、“イマ”のわーすたが最高の笑顔で飛び出した瞬間、そういうライブになるのだと確信した。

 

 

Overture
いぬねこ。青春真っ盛り
完全なるアイドル
グーチョキパンツの正義さん
ゆうめいに、にゃりたい。
ーーーMCーーー
Doki Doki♡today
にこにこハンブンコ※みり・りりか・はづき
ぱわわわわん!!!パワーパフガールズ
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
Magical Word
ねぇ愛してみて
らんらん・時代
Zili Zili Love
好きな人とか居ますか※ななせ・るか
Just be yourself
ワンダフル・ワールド
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ーーーENCOREーーー
Stay with me baby
ちいさな ちいさな
ーーーMCーーー
約束だから

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代表曲『いぬねこ。青春真っ盛り』から始まり、『完全なるアイドル』、『グーチョキパンツの正義さん』と序盤から飛ばしていく。

高揚していたのもあり、わけもわからないほど盛り上がる。『完全なるアイドル』サビのボーカルの衝動的な乱れ、ああ生バンドライブの醍醐味だ。最高。

渾身で勝負挑んでいく瑠香の気合い入りまくった歌声に圧倒される。なるほど、「音を実体化して攻撃する、わーすた最強の戦士」とは確かだ。

 

 

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サーフボードで冒険するRPG風の映像を挟んで『ゆうめいに、にゃりたい。』へ。

生音と合わせるのは難しそうな曲だけに、綿密なるリハの成果が見えた印象。

 

自己紹介MCを挟んで『Doki Doki♡today』、バンドで演ったらそりゃ最高の『にこにこハンブンコ』を経て再び映像へ。その間、スタンバイする人影に、見覚えのあるネコミミヘッドフォン…

 

今回のライブ、絶対どこかで出てきてくれると思っていた、音楽プロデューサー鈴木まなかの登場に、待ってましたと沸き立つ場内。

『ぱわわわわん!!!パワーパフガールズ』と『NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2』、『Magical Word』の3曲を、後ろでDJしながら見守るまなかさん。やっぱりこの構図が大好きで、『Doki Doki♡today』もこのブロックで見たかったなと少し思った。

 

 

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次の転換では再びバンドメンバーが。セッティングを眺めていると、アップライトベースが見えて大興奮。ということはあの曲か、それともあれか、いやあれだろう、なんて考えているところにメンバーが登場、「新曲です」という予期せぬ曲フリに驚かされた。

 

 

新曲『ねぇ愛してみて』は、未来の家族への愛の歌。「奇跡」と呼ぶべき幾重もの巡り合わせを、5人のハーモニーが優しく表している。

鈴木まなかの描く家族の歌は温かい。それは『いまはむかし』でおじいちゃんが教えてくれた、生きる事の美しさ、人生の儚さが包み込まれているからだ。

おじいちゃんがつぶやいた、そしてぼくが伝えられず、時が経ち愛する人に伝えている「ありがとう、ありがとう」という想いを、新曲のぼくは未来の家族へ伝えている。

「もしももしも 年老いても大好きだよ キミとぼくが おんなじ人生歩んだ奇跡」これこそが、儚き人生の中の美しさ、家族という存在である。これもまた、わーすたにとって大切な曲となるだろう。この特別な日に素敵な新曲が聴けて、本当に幸せだった。

 

 

そこからの『らんらん・時代』、『Zili Zili Love』、『好きな人とか居ますか』は、転換時に予想していた3曲。

中でも『Zili Zili Love』のアレンジがたまらない。ゆったりと微醺を誘うようなまどろみのなかに、艶めかしく馨る廣川奈々聖のボーカル、気絶しそうなくらい良かった。

 

『好きな人とか居ますか』は、何かを手繰り寄せながら近づくもすれ違う二人、重ねる手と手が最後には届かないなどというフリが印象的な曲だが、今回は歌のみで総てを表現する。だからかそれだけ感情も込められていた。誰かの心を動かせるのは、こういう歌声である。

 

 

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このライブを通してまた一段と成長していく姿を見つめているうち、早くも終盤に差し掛かろうとしていた。

転換の映像では、毎回ひとりずつ増えていった冒険の仲間がついに5人揃い、サーフボードは最後の大陸へ向かおうとしていた。そこは煌々と光が溢れるところ。わーすたが辿り着いて、流れたのは『Just be yourself』のイントロ。

 

 

いまでも目に焼き付いて離れない、会場全体を照らしたあの眩い光。時の流れから抜け出した、「神様も知らない瞬間」

 

どれだけ最高の景色でも
記憶が全く色あせないことはないと思うから

 

 

でもたくさんの人の記憶の中に
昨日のこの瞬間が残っていたら

ずーっと色褪せることはないのか、な🐰🌹

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私は以前『Just be yourself』雑感の記事に、「わーすたが『時間』を超えられるかもしれないアイドルである可能性を顕現してくれた重要な曲」だと書いた。歌詞に感動するあまり大仰に書いてしまった感もあったが、あの刹那を刻み込んだ現在の私なら確信をもって言える。わーすたは時間を超えられる。

 

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『ワンダフル・ワールド』と『うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ』で盛り上げ本編を締めくくり、メンバーがステージを後にする。

まだ披露されていないあの2曲を思い浮かべ、堰き止められない思いを声にして、全力でわーすたを呼ぶ。

 

 

隠しステージ。そこに立ったメンバーからは聞き慣れぬ曲名が。『Stay with me baby』これも新曲だ。

率直な感想を言うと、この曲はこの会場に合っていない気がした。もっともっと大きな会場でこそ映える曲だと。そういう曲を、あえてこのタイミングで持ってきてくれたこと。小さすぎるこの会場で見せてくれたこと。未来のわーすたの歌だ、と思った。

「あたしと出会ってくれて ありがとう」が本当に美しく響くとき。それを想像して泣いた。

 

『ちいさな ちいさな』は、とても幸せな気持ちで観られた。なっちゅんが昔、「その時のものすべてが表れる曲」だと書いていたが、私がちゃんと受け取れているなら、メンバーもこんな気持ちで歌っていたのではないかと思う。とても温かい時間だった。

 

 

そのまま最後のMCへ。それぞれがこの日のこと、この日までのことを振り返る。

「楽しいライブができて、わーすたのこれからとこれまでのなかで、すごい大事な日に、忘れられない日になった」と瑠香。

「楽しい」というのは、続く坂元葉月も印象的に語っている。「最初から今まで、楽しくなかったことありますか?」と問いかけ、「全曲楽しかった」と振り返る。「すごく楽しかったから、この“イマ”を迎えられて嬉しい」と。

隣で聞きながら、先ほどは見せなかった涙を拭っていた瑠香に愛しさを覚える。

 

「この景色がずっと見たくて」と感涙するなっちゅん、「最高のライブにすると自信を持って言っていたけど、裏では… たくさん悩んだし、たくさん不安なこともあって、メンバーで泣いたこともあって」と途切れ途切れに伝えてくれた梨々華。

このあたりのMCはこちらもボロ泣き状態で、続く松田美里が「ここを踏み台にして」なんてとんちんかんなことを言ってくれなければ崩れ落ちてたと思う。

 

みりてこが何を言いたかったのか。「ここが最後じゃない」ということ。

「わーすたには、このタイトルの通り『夢』がありますし、ファンの方にはずっとこれからもついてきてほしい」

 

余韻に浸るまもなく
これからも私たちは
やるべき事があります


夢がありますから(≡^.^≡)

 

 


ついてきてくれる
ファンの方もおるけん🌅♥

 

 


止まらず、アイドルの道から逸れず
まじめにずっと頑張ります。

 

約束だから(≡^.^≡)

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秋の全国ツアーが決まり、フランス・パリで開催されるJAPAN EXPO2017にミュージックゲストとして出演することも決まった。

ここが終わりじゃない。こんなところで終わるわけがない。わーすたはまだまだ夢に向かって走り続ける。

 

今まで生きてきて

1日のためにみんなでたくさん悩んで
1日のことをこんなにたくさん考えたこと

なかったな〜

 

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この瞬間に戻りたい…

 

 

でも、戻れないからこそ
儚くて 愛しくて 切なくて 綺麗なんだね🐰

 


「約束だから」にそんな歌詞があったけど
昨日それがよく分かった気がする(>_>)、♪

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もう戻ることのできない、儚くて、愛しくて、切なくて、綺麗な瞬間を抱きしめて、未知なる明日へ。

「君と約束の小指、忘れない」

 

 

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文句なしに最高のライブだった。あまりにも最高だったので、文章にするのがとても難しかった。本来なら言葉にならない思いを、どうにか書き表したにすぎない。

どんな文章も映像も、決してあの瞬間を残すことはできない。だから、今回行かずに後悔している人は、またの機会には絶対に観に来てほしい。

必ずまたの機会がある。また最高の瞬間を見せてくれるはずだから。

 

3/29 わーすた定期ライブ わーすたランド わ-5

渋谷で財布を紛失してもうダメかと思ったが、なんとか生きて関西に帰ることができたので、3月29日(水)渋谷WWW Xにて行われた わーすた定期ライブ わーすたランド わ-5 について振り返りたい。

 

 

今回はただの定期ライブではなく、わーすたが産まれて二歳という記念日に開催される特別な公演だった。

 

そんなわのご、1部は一桁番台で観られる幸運に恵まれた。なお撮影技術には恵まれなかった私は、白飛びしすぎて霊魂ではと疑ってしまうような写真を2、3枚撮ってのち、やはりこの目に収めるようにと集中し直した。慣れぬことはせんが良い。

 

では例のごとく坂元葉月のブログからセットリストを引用する。

 

*1部*
Overture
Doki Doki♡today
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
らんらん・時代
ーーーMCーーー
グーチョキパンツの正義さん。
ぱわわわわん!!!パワーパフ ガールズ
いぬねこ。青春真っ盛り
ーーー映像ーーー
Just be yourself
ーーー企画(葉月と瑠香)ーーー
ゆうめいに、にゃりたい。
完全なるアイドル
Zili Zili Love
ーーーMCーーー
ちいさな ちいさな
約束だから
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

ーーーENCOREーーー
Magical Word(新曲)
ーーMCーー
ワンダフル・ワールド

 わーすた 公式ブログ - 坂元葉月*2周年*713 - Powered by LINE

 

 

初期の衣装に身を包んだ彼女たちが、表れて途端にパフォーマンスする『Doki Doki today』には、当時を知らぬ私をして心を顫わしめる「色」があった。

それはとても淡く、三品瑠香の生誕企画でピンクに染まった会場を包み込み、春の桜を思わせた。
季節は一巡りし、また次の春へ。わーすた三年目の始まりを噛み締めた。

 

 

 

中盤、わーすた二年目の活動を振り返る映像が、メンバーの衣装替えの間流れる。

わーすたが全力で愛してきた「イマ」たち。そんな時間の宝石箱は、彼女らの走り抜けてきたが如くあっという間に過ぎて、あの曲のイントロと共に「イマ」のわーすたが、ステージへと踏み出す。

 

『Just be yourself』この曲を生で観て聴いて感じたい、というのが、今回の大きな楽しみのひとつだった。

ここで歌われる「夢」や「時間」は、わーすたに無関係ではないが、わーすただけに限られたものでもない。つまりわーすたを含む何ぴとにも共通するものである。

もっと言うと、子供に向けて歌われたものであるが、同時に子供だったころの大人たちにも歌われている。その意味で万人共通である。

だからこそ純に受け取らなければならない。「わーすたの物語性」のみを感じ取るのは大人の感性であって、それ含む総ての「夢」や「時間」を感じられてこそ、この曲の美は開かれる。

 

廣川奈々聖が「今までの曲と比べて 一見 いちばん単純な曲にみえるのに 今までの曲の中で 言葉で説明するのがいちばん難しい曲」とブログに書いていたが、それだから「自然と思いを込めたくなる曲」であり、「この曲の良さって無限大かもしれない」と理解して歌ってくれているのは幸せなことである。

その思いの強さ、美しさ、温かさに、涙を流さず居られない、最高のひとときだった。

 

 

 

そこからのセットリストは、時間の魔法によって2nd『ゆうめいに、にゃりたい。』、1st『完全なるアイドル』、デビューアルバムから『Zili Zili Love』と逆行していく。

ついに時間は、わーすたとして一番初めに披露した曲『ちいさな ちいさな』まで遡った。

 

 

直前のMCで松田美里のこのツイートについて触れ、三品瑠香が「最近はじめましてした方、ちょっと前から、昔から応援してくれているファンの方、みんなが集まって、時間が経って、日々わーすたとしてやっていけてる。みんなのおかげなんですよ」と言っていた。

この日の『ちいさな ちいさな』にはそんな思いも歌われていた。「私が産まれた奇跡に 今、ありがとうと歌います」そして、「夢を叶えるために 私は頑張ります」と。

 

時間はまたひとつ遡る。

『約束だから』この曲が歌っているのは、結成以前それぞれの青春の日々の追憶である。5人はあの日に帰り、そして「君と約束の小指」を見つめる。このとき、わーすたの時間旅行は、未来へと繋がる。

 

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本編充実のセットリストで満足気味、あとやってない曲はあれか、アンコール声出して気持ちよく終わるぞ、なんて勝手に予想していたのだが、ここでまさかの新曲。

『Magical Word』、あいさつの魔法でお友達、とそれぞれが学んでいる外国語で歌っている。広い世界に出て、新しく出会い、進んで行くということを感じさせる曲だった。まだそこまで聴き込めてはいないが、「不思議な箱あけてみる」や「右足ちょい踏み込むと」など『Just be yourself』との聯関を思わせる歌詞も興味深い。

 

 


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*2部*
Overture
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ゆうめいに、にゃりたい。
ワンダフル・ワールド
ーーーMCーーー
Doki Doki♡today
好きな人とか居ますか(瑠香・奈々聖)
らんらん・時代
ーーー映像ーーー
Magical Word(新曲)
ーーーMCーーー
にこにこハンブンコ(美里・梨々華・葉月)
グーチョキパンツの正義さん。
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
いぬねこ。青春真っ盛り
約束だから
ーーーMCーーー
ちいさな ちいさな
Just be yourself

ーーーENCOREーーー
いぬねこ。青春真っ盛り

 

2部はメジャーデビュー時の衣装で登場。これは衣装&ヴィジュアルプロデュースの木村優が、わーすたのキャラクター設定を事細かに考えてくれて出来上がった衣装で、私は「ライブはみんなを笑顔にする魔法」というのを発端としたこの魔法少女設定が非常に気に入っている。

 

 

新参の私にも馴染みの深い衣装。そして中盤、二年目を振り返る映像(後半)も見覚えのあるイベントとなり、だんだんと現在に近づいてゆく。

いま一番新しい衣装に着替え、いま一番新しい曲を披露する。

 

 

『Magical Word』からの数曲は夢中に過ぎ、ライブは早くも終盤。

ここでの『約束だから』、過去より歌われた1部とは少し変わってくる。三島由紀夫は「追憶は『現在』のもつとも清純な證」だと言った。5人はこのあまりにも清純すぎる感情を抱きながら、いま現在の彼女たちとして、あの日の「約束」について歌い上げた。パフォーマンス後のMCでメンバーが感極まっていたのもそのためだろう。

 

 

そんなMCに続く、リーダー廣川は涙で曲フリが上手くいかず、小玉梨々華が思わず「次の曲いやだよ、泣いちゃうもん」と漏らした『ちいさな ちいさな』、わーすたの二年間がぎゅっと詰まっていた。

 

「二年前はただ目の前のライブを必死にやって、いまわーすたってグループでライブして楽しいなみたいな感覚だったけど、二年経ってワンマンでこういう景色を見ると、もっとみんなと色んな会場行きたいなとか、もっとみんなに喜んでもらえることしたいなとか、すごい将来のこと考えるようになった」と梨々華の言っていた通り、

「感謝の気持ちが前より大きくなって、具体的に『ありがとう』って気持ちを込めて言えるようになった」とみりてこの言っていた通り、

この日の『ちいさな ちいさな』は歩んできた二年間があったからこそ歌えるようになった、そんな「ありがとう」が込もっていた。

 

2年の間に出会えた方はたくさんいてありがとうたくさん伝えたいんだ

わーすたになって、いろんな事に自分達もたくさん関わるようになって考えるようになって、そうしたらわーしっぷさん達からの気持ちがすごく近く感じられるようになったの
だから、みんなへのありがとうの気持ちが大きいです

^ - ^

 

みんながいるからこんなに楽しいと思えるライブが出来るし、みんながいるから今のわーすたがあるよ

 

いつも幸せな気持ちにさせてくれるわーしっぷさんありがとう

わーすたに2周年を迎えさせてくれてありがとう^ - ^


これからもわーすたからみんなにたくさんのものをお届けしたいです3年目もよろしくね

 わーすた 公式ブログ - 三品瑠香【2周年でした】715 - Powered by LINE

 

 

アンコール明けのMCでなっちゅんが「はーちんは全然普段しゃべらないの、自分から」と感想を尋ねたとき、はーちんが答えた「相思相愛」そのままの温かいライブだった。

楽しかった、というより、幸せだったと思い返したい、素敵な時間をありがとう。

 


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プードルを上げてしまうかもしれないけど、わーすたが次に見据える4月22日、間違いなく最高のライブになる。でなければ最後『ちいさな ちいさな』のあとに『Just be yourself』なんて持って来られるはずがない。

もう戻ってこない財布の痛手を打ち消すほどな希望を胸に、月末へ生きる。

わーすた『Just be yourself』雑感

 

わが萩原朔太郎は『憂鬱の川邊』という詩でこう言っている。

 

げにそこにはなにごとの希望もない

生活はただ無意味な憂鬱の連なりだ

梅雨だ

じめじめとした雨の點滴のやうなものだ

しかし ああ また雨! 雨! 雨!

 

朝起きて、ああまた一日が始まる、この憂鬱。昨日も今日も明日も同じ…この果てしない閉塞感。

また雨!と項垂れ、力なくただ「時間」に押しやられる。当たり前のようにそうなるはずだった今日、ある曲が公開された。

 

 

4月19日(水)発売となる、わーすた3rdシングル『Just be yourself』

この曲は『劇場版プリパラみ〜んなでかがやけ!キラリン☆スターライブ!』の主題歌となっていて、その予告動画で少し聴けただけでも期待大と待ち焦がれていたものだった。

 

公開されたMVを、一度通して見る。率直な感想を言うと、涙してしまうほど感動したのだが、どんなMVだったかは全く残っていなかった。これは決してMVが悪いわけではない。私の見方もあるだろうが、単純に楽曲がヴィジュアルイメージを圧倒していたからだ。

廣川奈々聖1/19のブログで「イントロを聞いただけで胸の高鳴りが止まらないようなキラキラした曲」と言っていたのも首肯ける。

 

そして、このメロディーに乗る歌詞。あまりに感銘を受けたので、すぐにノートに書き写した。常日頃から考えている「時間」について、かなり興深く響いた歌詞だった。

 

詩人ボードレールは『時計(L'Horloge)』で、「時計!恐ろしき無感覚の凶(まが)つ神」と言っている。時間におびえるわれわれの心臓に容赦なく爪を立てる、絶対的な存在。

これをいとも簡単に超越したのが「秒針もクルり回るけど 神様も知らない瞬間」というフレーズ。一気に何かから解き放たれた思いだった。

 

さらに「未来へ歩く“今日”は 繰り返しのフリしている夢への道」サビのこの素晴らしい一文は、

雨、雨、雨…と繰り返される憂鬱に対して、その向こう側、夏の強き光を見せてくれる。それは「夢」だ。

 

あとに続く「一秒一秒が過去に変わる“イマ”」これにはボードレールの「一時間に三千六百回、秒は囁く、忘るるなかれ! と。──また蟲の聲して 早口に現在は言ふ、予は過去なり」がすぐさま思い出される。

後者では過去となった現在が「忘るるなかれ(Souviens-toi !)」と、毎秒ごとに積み重なってゆく悔恨を突き付け、さらに「予は不潔なる吸吻(きゅうふん)もて汝の生命を吸ひ上げたり!」と急かす。

しかし前者は、毎秒過去に変わっていく“イマ”を「全力で愛していこう!」と歌う。夢を抱いているからこそ、「10年後 30年後 過去になった“イマ”を 笑顔でね、思い出そうよ」と歌うのだ。涙の日々も未完成の今日も「時間の宝石箱」へ…

前作『ゆうめいに、にゃりたい。』は過去を旅する物語だった。そこで「夢があるからついてきてね」と歌っていたのが、今作を通して自分の中で繋がった。

 

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『Just be yourself』は、わーすたが「時間」を超えられるかもしれないアイドルである可能性を顕現してくれた重要な曲である。

2017年は勝負の年になるだろう、と昨年書いた。私だけでなく、こんなことはわーすたファンなら誰もが思っていることだ。そんなタイミングでこの曲が、しかも多くの目に触れる形で生まれたのはたまらなく嬉しい。

 

4月22日、わーすた史上最大規模フルバンドワンマン「The World Standard ~夢があるからついてきてね~」

トキメキとワクワクとダイスキが光り輝く夢への道は、いま確かに開かれている。

廣川奈々聖と「時間」

 

「今こそ醉ふべきの時なれ! 虐げらるる奴隷となつて、時間の手中に墮ちざるために、酒によつて、詩によつて、はた德によつて、そは汝の好むがままに、醉へ、絶えず汝を醉はしめてあれ!」

近代詩の父とも評されるフランスの詩人シャルル・ボードレールが、彼の散文詩にこう書いている。(上に引用したのは『醉へ(Enivrez-vous)』三好達治訳)

 

彼は「時間(le Temps)」について非常に敏感であった。彼にとって時間とは何者だったのか。代表作『惡の華(Les Fleurs du Mal)』から『仇敵(L'Ennemi)』という詩を引く。

 

──苦しや! 苦しや! 時は生命を啖ひ、

この見えざる仇敵はわれらが心を蝕みて、

得々と生血を啜り肥りはびこる!(村上菊一郎訳)

 

時間とは命を食らう敵なのである。じりじりと迫りくるこの仇敵に心は蝕まれる。そして、どれだけ恐れ抗おうとも、やがてはすっかり呑み込まれてしまう。だれもが考えたことのあるだろう漠然たる恐怖を、詩人は詩人たる鋭い感性をもって描き出す。

「現在、世界のあらゆる言語で書かれる抒情詩に於いて、多くは間接であらうが時には直接に、ボオドレールの影響を受けてゐない詩歌は無いと言つても、過言ではない(鈴木信太郎)」とまで称される重要偉大な詩人ボードレールだが、いざ読んでみるとかなり人間臭いところがあり、身近に感じられる。

 

殊に私はこういう人物に惹かれるらしい。敬愛する萩原朔太郎然り。そして、近頃では廣川奈々聖からも同じ魅力を感じている。

先日の定期ライブわ-4から、ずっと廣川について考えていた。私はあのライブで、彼女から溢れ出る詩情(poésie)を感じた。

詩情というものについて、ボードレールが『浪漫派藝術』で「ポエジーの原理とは、厳密にまた単純に、ただ高度な美への人間の憧れにほかならず、この原理の顕現は、魂の熱狂と恍惚のうちにある」と語っている。

高度な美への憧れ。ちょうどライブの数日前に廣川が送ってきたメールが思い出される。自分が思っているよりも高い「理想」について書かれたものだ。この理想はどうしようもないものだけど、「本気」で挑みたいのだと。この「本気」は魂の「熱狂」、そして抒情的な彼女の歌声は「恍惚」にそれぞれ当てはめられる。

 

抒情的。以前彼女はブログで『ちいさな ちいさな』について、「その時の空の色とか こころの変化とか 流れる空気とか その時のものすべてが表れる曲」だと書いている。これはまさに抒情的な表現方法だ。

パフォーマンスに限らず、アイドルとしてもその抒情性は見られる。ツイッターやブログにはあまり書かないが、メールではあれやこれやの感情をよく披瀝している。

 

女性アイドルの旬は短い。これを元来のアイドル好きである彼女は痛いほどよく知っている。意識しているのかいまいか、その焦燥を感じさせる文章は少なくない。「時間」は容赦なく彼女にも牙をむく。

 

L'Art est long et le Temps est court.「藝術は永く時は短し」これはなんと残酷な言葉だろう。『不運(Le Guignon)』という、忘れられた詩人エドガー・アラン・ポオについて詠った詩の中で使われている。

ポオに多大な影響を受けたボードレールは、この異国の不運な詩人に自らの運命を見ただろう。あのポオでさえ、藝術に置き去られ、暗黒と忘却の中に埋められてしまったのだ。いかなる薫香を放てども、もはや鶴嘴も届かざる奥深き寂寞の中に!

藝術と共に在る、僅かな、限られた人生を「時間」は容赦なく食い殺す。酔いはいつか醒めるのだ。

 

この漠然たる不安、いかにせんという苦悩、そうした内面をどう照らし出すべきか。

わが朔太郎は言う。「どんな場合にも、人が自己の感情を完全に表現しようと思つたら、それは容易のわざではない。この場合には、言葉は何の役にもたたない。そこには音樂と詩があるばかりである」

彼女の歌声を聴くこと。彼女の心の「かなしみ」「よろこび」「さびしみ」「おそれ」その他言葉では表現できない感情をしっかりと感じること。そこに「美」がある。

 

天國より來るとも、地獄より來るとも、そは問はじ、

おお、美よ! 巨大なる、恐ろしき、率直なる怪物よ!

ただ汝が眼、汝が微笑、汝が足が、わが愛する

まだ知らざる無窮の門をわがために開くならば。

 

惡魔か神の使なるともそは問はじ。天使はた海魔(Sirène)なるとも

そは問はじ、 ──天鵞絨の眼の妖精よ、

韻律よ、聲よ、光茫よ、おお、わが唯一の女王よ!──

汝ただ全世界の穢れを減じ、時の重みを減ずるならば。(村上訳『美への讃歌(Hymne à la Beauté)』)

 

廣川奈々聖の美を見出すのは容易のことかも知れぬ。私のごとき無知蒙昧の徒でも、軟弱ながらそれなりの自論を広げることができる。この点はボードレール萩原朔太郎にも、やはり共通する。であるから多くに愛され研究されてきた。そう、表面的には何ら難解ではない彼らなのである。

しかし、彼らはその内奥の果てしなさにこそ難解さを持っている。ひとたび本気で理解しようと思ったなら、もう後戻りはできない。それが天より来たるか、はた奈落の底より来たるか、いづれにせよ、どこまでもどこまでも進んでいくしかない。

「巨大なる、恐ろしき、率直なる怪物(monstre énorme, effrayant, ingénu)」ここでの ingénu は率直と訳されているが、齋藤磯雄訳では「あどけなき」、鈴木信太郎訳では「清浄無垢」とそれぞれ訳されている。

そう、この「美」が天使のように純粋無垢であっても、セイレーンのように人を破滅に導こうとも、すべては問題でない。それがわれわれに「まだ知らざる無窮の門」を開くものであり、「時の重みを減ずる」ものであるなら。

 

彼女が美しく歌い踊るとき、われわれは時を忘れる。彼女が永遠となるのはその瞬間に限ってのみだ。あらゆるものは終に死ななければならない。「藝術家とは死を創る故に僅かに生を許されたものである」と小林秀雄は言った。「刹那が各人の秘密を抱いて永遠なる所以である」と。

 

 

この拙文はわが幼稚なる考のまだ発端である。廣川奈々聖にしてもボードレールにしても理解が不十分で、そこかしこ牽強付会の感が否めないのは容赦いただきたい。

この考はここから進展するとも抛棄するとも知れぬものであるが、とにかく考えていて楽しかったので纏めてみた。

 

最後に、1stアルバムのときの魔法少女設定では、廣川は時間をあやつる能力を持っていた。ここまで「時間」について長々と書いてきたのだから、これは興味深いことである。2ndシングルで暇だから過去に行かないかと提案するのも、無論時をあやつれる廣川である。

魔法と言えば、『QUETE POP』コピンク*(feat.廣川奈々聖)で「あぁ、時よ、止まるんだ」と歌っているのも、ああこれが「君だけが遣える魔法」か、と結びつけての感嘆を禁じ得ない。

果たして「もしも君こそ“奇跡”なら」、あるいは「僕らは何百年先も、ずうっと・・・」

 

 

1/28 わーすた定期ライブ わーすたランド わ-4

 

方向音痴の田舎者には高難易度の街、横浜。

ツアーファイナル以来、久しぶりのわーすたライブで浮足立っていた私だから、元町からタクシーを使っていなければ確実に迷って昼のチケットを海に抛り投げることになっていただろう。

 

会場は横浜ベイホール。1000人以上入ると聞いていたのが、いざ入場してみると思ったより狭く感じたのは構造の問題か。横に広かったのだが、とにかく柱が邪魔だったので横のスペースから観る客は少なかった。私も、前方ブロック中心へ、一番後ろになんとか入り込む。

 

 

セットリストは坂元葉月がブログに載せてくれているものを引用する。

まずはいちぶのせとりー!!!!!!!

ひらがなやとよみづらいー!!!!!!

 

 *今日のセトリ(昼)*

Overture
ゆうめいに、にゃりたい。
いぬねこ青春真っ盛り
グーチョキパンツの正義さん
スイカ割り
ーーーMCーーー
Doki Doki♡today
にこにこハンブンコ
ワンダフル・ワールド
ーーーmovieーーー
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
Zili Zili Love
好きな人とか居ますか
らんらん・時代
ーーーMCーーー
完全なるアイドル
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ちいさな ちいさな
ーーーencoreーーー
ワンダフル・ワールド

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『ゆうめいに、にゃりたい。』から始まる今回の定期ライブ。この曲にもかなり慣れてきた。初披露ぶりにライブで観るのだが、単純に踊りはもちろん、坂元葉月公にニャニャーとひれ伏すところ、間奏のパラパラなんかも出来るようになってるとものすごく楽しい。

うるチョコのときや、前回シングルのときもそうだったが、基本前半の衣装が決まってしまうのもあって、やはり雰囲気がガラッと変わる。セトリの組み方も変わってくる。『完全なるアイドル』のときのように、『Zili Zili Love』や『好きな人とか居ますか』のような曲を前半に持ってくるのは難しい。

 

それもあってか、次曲からいきなりの『いぬねこ。青春真っ盛り』、続いて『グーチョキパンツの正義さん』『スイカ割り』とライブで盛り上がる曲で飛ばしていく。

 

 

自己紹介MC、からの曲フリで「横浜の空気をいっぱい吸って、いっぱい声出して」と来たので、うおお『ワンダフル・ワールド』か、ほんとガンガン攻めてくるな、と思って構えていたら、まさかの『Doki Doki today』という不意打ち。高鳴る胸の音にドキドキだったまさに。

前半がそんな感じだったので、ここでじっくりとメンバーの歌声を聴けた。廣川奈々聖の調子がよさそうで、しばらく夢中になっていた。

 

ライブの数日前になっちゅんから届いた、本人曰く深夜のテンションのメールに、私の胸を突き刺した一文があった。彼女らにとってのメールがどれだけ特別かを知っているからこそあまり内容を書いたりしたくはないが、その一文だけは書かせてほしい。

「本気じゃなかったことなんてないもん」

読みながら、そう確言するなっちゅんの姿を思い浮かべた。その表情は笑顔だった。

なっちゅんのいまの「本気」をどうしても感じたい。それが今回のライブの大きな目的になっていた。

 

本編ラストの『ちいさな ちいさな』1番Aメロのなっちゅんパート、歌い終えたあと、溢れ出した優しい笑顔、それはあの時思い浮かべたものに似ていた。

 

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ほとんど一部で燃え尽きた感もあったのだが、あの曲が聴けていないのもあり、期待しつつ二部へ。セットリスト再びはーちんブログから引用。

 

*今日のセトリ(夜)*
Overture
ゆうめいに、にゃりたい。
Doki Doki♡today
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ
ーーーMCーーー
グーチョキパンツの正義さん
にこにこハンブンコ
ちいさな ちいさな
ーーーmovieーーー
ワンダフル・ワールド
Zili Zili Love
好きな人とか居ますか
らんらん・時代
ーーーMCーーー
完全なるアイドル
NEWにゃーくにゃくにゃ水族館2
いぬねこ。青春真っ盛り
約束だから
ーーーencoreーーー
ゆうめいに、にゃりたい。
うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

 

二部に関しては、『ゆうめいに、にゃりたい。』からいきなり『Doki Doki today』、うるチョコと、え?もう終わるんですか?といった構成。ちなみにこの時のエクスカリにゃん(中華帽子)、弾かれて転がってきたのを幸運にも拾うことができた。

 

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初エクスカリにゃんをしみじみ喜んでいる暇もなく、『グーチョキパンツの正義さん』を全力で踊る。この曲はやっぱり楽しい。

ユニット曲『にこにこハンブンコ』、そして『ちいさな ちいさな』と、このブロックで急激に会場が一体になっていった。

 

この二部の『ちいさな ちいさな』に関しては、もっと書いておきたい。

2番Aメロでなっちゅんが声を詰まらせてしまう。これについては、一部の感想でも書いた通り喉の調子自体はよかっただろうから、一瞬のものだろうと思ったしそういう心配はしていなかったが、ただ彼女はかなり気にする事象だろうなとそこが心配になった。

だが、パート歌い終えて移動するタイミングで、りりかと目が合う。そのときのりりかの微笑みの温かさ、さらに、後ろに居て包み込んでくれるはーちん。

そんな場面を見て、ああ、わーすた好きだな。このグループが、この子たちが大好きだ、と改めて思った。今回のライブは、そんなことを感じさせてくれるものだった。これはわれわれにはもちろん、メンバー自身にも、である。

 

りりかがしばらく体調崩してたけど
昨日は5人でステージに立てて
ほんっとによかった!!😣😊

 

 


良いことなのか
良くないことなのかはわからないけど


私たちも りりかとわのよんクリアするって
決めとったけん
4人になったこと想定したリハーサルなんて
絶対せんかったもん✨(^ν^)笑

わーすた 公式ブログ - 659♩廣川奈々聖 #わのよん クリア🐶🎉🏁🚩 - Powered by LINE

 

こういうときの廣川リーダーはスパッと力強いことを言ってくれる。

直前のりりかの体調不良もあり、「この5人であることのわーすた」を強く感じさせてくれるライブになった。

 

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本編ラスト、一部では聴けなかったあの曲。『約束だから』

昨年のツアーを語るうえで欠かすことのできないこの曲、ツアー以外のライブで初めてこの曲を聴くことが出来て、とても新鮮だった。良いか悪いか、これまでとは違って、純粋に曲を楽しめた気がする。すっかりわーすたの曲になったんだな、という感動が後に湧き起こる。大好きな曲だ。

 

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アンコールはタオルが運ばれてくるのが見えたので『スイカ割り』?と思っていたら、『ゆうめいに、にゃりたい。』とうるチョコだった。

最後のうるチョコが昨年夏のノンストップライブを思わせるほど自由で、タオルもここで振り回したり投げたりに使われていた。今回のライブについて、なっちゅんブログから。

 

でも今回はちょっといつもは違う感じの曲並びだったり、2部のアンコールのうるチョコも自由にやってみたり

 


ライブでできることの幅を広げていきたいな〜って思ってたり


新しいアイデアないかな〜って考えたり


今回もすっごい楽しかった(*^_^*)!

 

曲数の問題で、アンコールに本編でやった曲をもう一度持って来ざるを得なかったり、セットリスト組むのが難しいところもあるだろうが、そこをメンバーも考えて工夫してくれているのが嬉しい。

どこにメンバーの意見が反映されているんだろうと想像してみるのも楽しい。本編ラストがそれぞれ『ちいさな ちいさな』、『約束だから』に決まったのはどういう話し合いからなのだろう、なんて考えたり。

 

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まだまだ書きたいことはある(とても重要なことを書いていない!)のだが、いかんせんそれはまだよく纏まっていないのもあり、のろまな私としてはゆっくり楽しみたいことでもあるので、考えが変わらなければ、すでに出現している次回のステージのときにでもと思っている。

 

約束


遥か三週間前、大嫌いな東京で、とある「約束」をしてきた。
私はこれまで幾度か、これと似た「約束」を交わしたことがある。が、いづれも己が藝術的拘泥という我儘のため反故にしてきた。
われはわが身勝手さに辟易している。自己嫌悪の渦は私から「夢中になる」ことを遮断した。2016年はボオドレエル片手に過ぎゆくものと思っていた。

 

「今日においては、階調はもはや美ではない。美はただ乱調に在る」

 

初めて観た彼女らが階調だったか乱調だったかは自明である。そこに「美」を見いだしたのが始まりだったか。
思えば「美」について深く考え始めたのも今年だった。澁澤龍彦に傾倒し、サドやバタイユをこの身に取り込んだ。
所謂「名著」と名高い高級なもの許り読んでいた私にとって、それらの思想は、これまで積み重ねてきた教養を破壊しかねない有害な書であった。
しかしそれでよかったのだ。

 

「生の拡充の中に生の至上の美を見る僕は、この反逆と破壊との中にのみ、今日生の至上の美を見る」

 

いくらか「美」について柔軟になれたのではないか。私は一度、破壊されなければならなかったのだ。
そんなとき見つけた「美」。ついに私はふたたび「約束」をした。
渦巻く憂鬱は払われた。ワクワクする翌年への道は、無邪気なパステルカラーに彩られている。