-

澁澤龍彦『黒魔術の手帖』

 

マルキ・ド・サドの翻訳で有名な澁澤龍彦が、俗に黒魔術と称されているオカルティズムをめぐるさまざまなエピソードを紹介したエッセイ集。

 

黒魔術の手帖 (1983年) (河出文庫)
 

 

f:id:pa39krytmy:20160817104207j:plain

 

 カバーイラストのバフォメットが印象的。

 

妖術、魔術、占星術、降魔、降霊術、錬金術、呪術、サバト、黒ミサ、ホムンクルスなどなど、趣味の悪い感じの話が満載。

 

 

中世というと音楽にしても哲学にしても宗教の色が濃い時代で、あまり興味を持てなかったが、宗教の色が濃いということは悪魔たちも裏で活躍していたということで、そちらから覗いてみると意外と面白く中世のことが知れた気がする。

 

難しい長い名前の人物がたくさん出てきて眩暈がしそうだったけど、パラケルススさんのことはなんとか覚えた。なんかすごい人らしい。

パラケルススさん、ラルヴァ(低俗魔術の世界の怨霊)の襲撃に備えて長剣を手元に置いて寝てたらしい。悪夢にうなされて起きると、暗闇に向かって剣ふりまわしてたらしい。怖い。

 

そういえば、このラルヴァの絶好の温床というのが「不健康な夢想、挫折した意志、満たされない欲望や恨み」なのだそうだ。やばいやばい。今夜から剣置いて寝よう。

 

 

占星術関連の話はあまりピンと来なかったけど、タロットカードは興味出てきた。簡単な占い方の一例があったので試してみたい。しかしどこに売ってるんだ。通販で買うってのも雰囲気でないし、どうせならそれっぽい店で買いたい。

 

サバト(夜宴)やら黒ミサの話も面白かった。ただサバトで悪魔の契約したあと塩が使用禁止になるのは辛い。なんにでも塩かける人だから契約できないな、残念。

 

 

悪趣味で不健康かもしれないが、こういう悪魔的なモノには、年甲斐もなくワクワクさせられる。かといって深入りしないようにも気を付けなければ。ジル・ド・レエ侯のごとく魂を地獄へ売り渡してしまわぬよう。