8/10 iDOL Street ストリート生 夏の壮行会
通っていた小学校が統廃合でなくなったとき、なんとも言えない悲しさに胸が締め付けられたのを覚えている。昼休み走り回った運動場、必死に逆上がりを練習した鉄棒、友達と笑い合ったり先生に怒られたり色んな思い出の染みついた教室も、ひとつ残らずなくなった。
それでも昔を懐かしめば、そのどれもは鮮やかに蘇る。決して忘れることはないだろう。自分が育ってきた場所、「原点」とはそういう場所である。
ストリート生という場所が終わる最後のライブ。
会場である恵比寿CreAtoには、卒業生や先輩グループの面々が大勢集まっていた。皆がここまで繋いできたバトンを握りしめて、アンカーとして走り抜ける5人を見守るために。
スト生 夏の壮行会セットリスト
1.恋してYES〜これが私のアイドル道!〜
2.いわゆるアイドル
3.Peace!Smile Girl
自己紹介MC
4.ココロのビー玉
5.僕だけのサンシャイン
6.全力!ダーリン
MC
7.あこがれストリート
8.黄昏バイシクル
卒業映像
10.Summer Street JUMP!!
11.キミ恋てれぱしー
12.絶対!Love Magic
EN1.YOU & IDOL
EN2.キラキラ☆ホリデー
珠玉の楽曲たちを、キラキラと歌い踊る5人がいた。
「昔の人が信じたとおりに信じることができなければ、昔の人が経験したとおりに経験することができなければ、歴史なんて読まないほうがいい」とは、徳川時代の国学者の説である。あの子たちは、先輩たちが信じたとおりに、経験したとおりに、ひとつひとつの楽曲に流れる歴史を、まっすぐ読み取り伝えてくれた。
歴史は鏡である。彼女たちそれぞれが、そこに自己を映す。ついに自分自身が発見できたとき、進むべき道が見えてくる。5人は今後について話してくれた。孰れも前向きな今後だった。
悲しいライブにはならなかった。壮行会ってなんだ、と疑問に思った武井紗聖がスタッフに教えてもらった「壮行会とは送り出すこと」、だからこそ「前向きだから、最高な気持ちで送り出してもらいたいんだ!」とブログに綴っていたのを思い出した。最高に楽しいライブだった。
『YOU & IDOL』の歌詞が実感を伴って響いてくる。Aメロはアイドル、Bメロがファンの声。ハイテンションに懸命に、誰一人おいてけぼりにはさせぬよう場を盛り上げるキミの声を、いつまでもこの場所から聴かせてほしい。そして、僕のこの声を届けたい。
続くサビは双方の想いが重なって歌われる。
「ずっとずっとここにいたいんだ」そんな気持ちを爆発させて、お互いにハートからの声を届け合う。これこそが「キミと僕の大切なメロディ」であるから、「この瞬間はいつまでも僕とキミだけの宝物」となる。
『Summer Street JUMP!!』の「君が見てるこのステージが 時を止めてしまうよ」という一節を思い出さずにはいられない。永遠は一瞬間の裡にある。止まった時間は点となり、もう流れることはなく、私たちの時間から抜け出して、ずっとずっと残り続ける。
だから私たちは安心して進みだせる。「一緒に繋ぐあの未来を この笑顔に誓えますか?」
この曲は卒業映像、そしてスト生を振り返るMCの直後に置かれていた。涙を拭いて、キラキラとした笑顔でパフォーマンスする彼女たちを見て思った。「間違いじゃない 君を選んだことは」…
横野すみれを知ったのは、昨年のストリート生選抜 さますと を観たのがきっかけだ。歴が浅く見る機会も少なかったので、彼女のことはなかなか摑めずにいた。
女優という夢に向かって寡黙に実直に努力を重ねていく姿を、二度の舞台で見つめることができた。そしてその摑みづらかった彼女の、透き通るような美しさは、舞台に、芝居に向いていると感じた。
すーちゃんは『あこがれストリート』で、サビの最後のパートを任されていた。
「どんな夢みたいな夢でも 叶えるから 私を見ていて」
涙が止まらなかった。あこがれを追いかけて、ストリートを飛び出してもまだまだ走り続けるすーちゃんを、これからも見つめていたい。
今回のライブで、この場所が、ストリート生という皆の「原点」が、どんな場所かということを知れた。わーすたの松田美里がブログで「iDOL Streetにストリート生が 存在してたことを 5人が最後に 全力で証明してくれた」と書いていた通り、5人が大切なことを伝えてくれた。
将来の夢、大きな希望を歌って卒業していった5人に、卒業生や先輩たちも前に進む力を貰っただろう。そしてまたいつか夢みる道の先で会えるといい。そんな未来を心待ちにしている。